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2011年1月 2日 (日)

1300年と,万葉集

あけましておめでとうございます.
今年もぼちぼちマイペースでPostしていきます.

さて現在実家の奈良に規制しています.
遷都1300年祭は終わりましたが奈良ブームは続いてるようでまだまだ観光客が一杯来ています.
1300年という歴史にロマンを感じるというのがやっぱりその理由でしょうが
でも,その頃生きてた人々は今の我々と案外今と変わらなかったようです.

この時代の人々の様子をもっともよく伝えてくれる資料のひとつが『万葉集』です.
最近ではPodcastでもこんな番組が配信されています
『NipponArchives 万葉集 ~ココロ・ニ・マド・ヲ~』

万葉集のスゴいところは,
天皇から名もない一般人や乞食の詠んだ歌まで収録されているほか
それに加えて詠まれた状況の解説が結構書かれてるということ.
その解説に書かれているシチュエーションがまた猛烈に人間臭いのです.
また歌の技巧がまだ完成される前なので表現がストレートなんですよね.

#まあこの番組は結構"きれいな歌"ばっかりで生々しいのが少ないんですが…


例えば
夫に離縁された女性に再婚したことを知らず求婚しにいった男の歌

白玉は 緒絶えしにきと 聞きし故に その緒また貫き 我が玉にせむ[巻第十六 3814]
(真珠の玉を繋いでる紐が切れたと聞きましたのでもう一度繋いで私のものにしたいのですが…)

それに答えてこの女性の両親
白玉の 緒絶えはまこと 然れども その緒また貫き 人持ち去にけり[巻第十六 3815]
(真珠の玉を繋いでる紐が切れたのは本当やけど,もう繋いで別の人が持っていきましたで.)

両親の微妙な気まずさと,歌を返された男が呆然とする様が目に浮かびます.

またキザな野郎もいたようで

家にある櫃に鏁(かぎ)刺し 蔵(おさ)めてし 恋の奴が つかみかかりて[巻第十六 3816]
(家の櫃のなかに鍵かけてしまっておいた,恋心って奴が,つかみかかってくるのさ)

酔っぱらったらこんな歌を口癖のようにくちずさむ親王がいたそうで…
一緒に飲むのは勘弁してほしい所です.

猛烈な惚気の歌もあります.

住吉(すみのえ)の 小集楽(をづめ)に出でて 現にも 己妻すらを 鏡と見つも[巻第十六 3808]
(住吉の歌垣に出かけてみたら,夢じゃなくて,ウチのかみさんながら,めっちゃ美人に見えるんだ.)

この当時も恋愛沙汰については女性の方が腹が据わってたようで
親に内緒で付き合ってる女性が男に詠んだ歌

事しあらば 小泊瀬山の 石城にも 隠らば共に な思い我が背[巻第十六 3806]
(もし何かあったら 小泊瀬山の石城にでも 一緒に立てこもってやるわ わが愛しい人よ)

小泊瀬山の石城は日本神話の英雄日本武尊を散々手こずらせた要塞だそうです.
そこに立てこもると言い放つ…女性は強い?!
この二人結ばれていたとしたら男が尻に敷かれていた方に一票.

なんか人物が透けて見える歌

双六の頭(さえ)を詠む歌
一二の目 のみにはあらず 五六三 四さえありけり 双六の頭[巻第十六 3827]
(一二の目だけじゃなくて,五六三四もあるよ サイコロの目)

ギャンブラー?

意味不明な歌コンテスト一位の歌

我が背子が 犢鼻にする 円石の 吉野の山に 氷魚懸(さが)れる[巻第十六 3839]
(ウチの旦那が フンドシにしている 丸石の 吉野の山に 鮎が下がっている)

賞金銭二千文(米相場換算で8万6千円相当)だったそうです.

続けて余計なお世話な歌二つ
痩せた人にひとこと

石麻呂に 我物申す 夏痩せに 良しといふものそ 鰻捕り喫(め)せ[巻第十六 3853]
(石麻呂さん,夏やせにいいらしいですぜ.鰻捕って食いなされ.)

ハンサムな男性振って醜男に嫁いだ女性に

うまし物 いづくも飽かじを 坂門らが 角のふくれに しぐひあひにけむ[巻第十六 3821]
(いい物は 誰も嫌がらないだろうに 坂門の娘は 角のデブなんぞに くっついたんだろう)


また正月にはみんな集まってくるのはこの頃も同じのようで

新しき 年の初めに 思うどち い群れて居れば 嬉しくもあるか[巻十九 4284]
(新しい年の初めに 仲間が集まってると なんとも嬉しいことだ)

千年以上前とは思えないこの人間くささ…人間って変わらないのね.

最後に万葉集の最後に記されている編者であるといわれる大伴家持が読んだ有名な正月の歌をどうぞ.

新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事(よごと)[巻二十 4516]
(新しい年の初めの 初春の 今日降る雪のように 積もれよ良い事)

この一年が皆様にとっていい年でありますように.

(引用:日本古典文学全集 萬葉集一~四  小学館)

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