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2010年10月24日 (日)

試験と,殺人

『「校長暗殺犯は誰」出題 東海市の県立高で教員名を選択肢に』(中日新聞CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2010102390160848.html

別に試験の内容に必然性があるならば
試験の中で校長でも大統領でもぶっ殺してくれていいと思うんだけど,

これって一体,何の試験やねん.

というのがニュースを聞いて初めての感想でした.
頭の柔らかさを点数化してランク付けすることが教育なのか?
そしてこの方法が本当に妥当なのか?

柔軟な発想というのは様々な考え方の体系を知る事に始まります.
様々な類型を知識や体験として学ぶことこそが
思考の可能性を広げる事に繋がる.
少なくともそれが学校における教育体系であるはずです.

武道の方からきた概念で「守破離」という言葉があります.
まずある道を究めるには
「守」:その道の類型を徹底的に学びこむ.
「破」:その道をさらに越えて押し進める
「離」:その道を離れ自分で一流を築いていく
という順を取ると言います.
学校教育というのはこの「守」を担う場所だと思うのです.

#無論,その次の「破」「離」へ繋がるよう意識することも大切ですが,
#それはまた別の議論で.

さて,ニュースに話を戻してみましょう.
実はこの問題も頭の柔らかさを量るといいながら実際は単なる知識の問題です.
それこそ探偵モノではゴマンと使い古された手ですから,
そういったトリックの体系を一つ知ってるかどうかに過ぎないのです.

こんな問題を出すというのは
教師はこのトリックの体系の一つも教えたんだろうか?
教えてなかったなら全くもって意味をなさない試験ですし,
そしてもし教えたならば商業実践という教育の中で
この思考体系がどういう意味を持つと考えたのだろうか.

教師は教育のプロとしてそれを説明できなければならないと思うのですが,
自分が考えるに全くもって論理的に説明する術がないんですが…
これって自分が素人だからですかね?

さて,最近ゆとり教育の見直しが大いに喧伝されていますが,
ゆとり教育の失敗はまさにこの部分にあったように思います.
ゆとり教育の本来は各学校が独自の教育ができるという点でした.
このコンセプト自体は大いに評価されるべきだと思うのですが,
独自の教育のためには生徒に達成してもらいたい目標があり,
その目標達成のための道筋というカリキュラムがあり,
カリキュラムを進行するだけの知識体系(テキスト,資料,教員のスキル)が必要でした.

それが目標に対しては受験の成果に繋がらないことから曖昧になり,
カリキュラムを立案できる能力のある教員は元々一握りしかいなくて
自分たちで行わざるを得ない知識体系自体の整備も遅れた.
結果,文科省がお仕着せで目標とカリキュラムを与えている分野しかまともに運用されなくなり
実質の教育内容低減に至ったわけです.

本来教育とは目標設定から,辿る道を設定し,そこに歩んで行く事にあり
教員が教育のプロフェッショナルであるならば
それを知ってきちんと運営できなきゃいけないと思うのですが.
でも実際教員養成課程でそこまで教えてるかといわれると正直疑問が残る所です.
(自分が受けた教職課程でも授業計画の話はあったけど,カリキュラム構成まではなかったような…)

こんなニュースを聞くと何か情けなくなるんですよね…
結局,謝罪して採点対象から外し,丸刈りになって決着だそうですが,
信念無く問題を作った事に対して反省してもらいたいもんです.

愛知県立東海商業高校(同県東海市大田町)で19日に行われた中間試験で、 校長を暗殺した犯人を当てるというクイズのような問題が出され、 選択肢の中に同校教員の実名が使われていたことが分かった。 校長が「教育現場にあってはならない」と問題を作った担当教諭を厳重注意した。  試験に出た問題は、職員室で暗殺された校長が残した血で書いた文字を手掛かりに、 選択肢に実名で挙げられた教員7人の中から犯人を選ぶという内容。 校長が書き残した「41124」と横に書いた数字を逆から見ると「カていカ」と読めるため、 答えは「家庭科の教員」というわけだ。  総合ビジネス科の総合実践の試験で貸借対照表やビジネスマナーの問題とともに、 「頭の柔軟さをはかる問題」として出題された。 作ったのは20代の男性教諭で、3年生の2クラス77人が回答。 同校によると「柔軟な思考を育て人間力をつける趣旨」として、 クイズ的に思考を試す問題はこれまでにも出題している。  この問題を見た学校関係者が県教委に連絡。県教委から学校に注意があった。 教諭は20日、該当するクラスで謝罪し、この問題を採点から除くことを伝えた。 さらに「けじめをつけたい」と自発的に丸刈りにし、反省の意思を示した。  本紙の取材に国枝裕校長は「教諭は反省しており生徒に動揺もなく収束した話だと思っていた。 設問は不適切で教育現場にあるまじきもの。 二度とないようにしたい」と話した。(中日新聞CHUNICHI Web)

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