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2010年8月28日 (土)

刑場と,デザイン

以下,不謹慎と思われる方もおられるかもしれませんが,
純粋に設計思想について考えただけで他意はありません.

千葉法相の意向を受け公開された東京拘置所の刑場の写真を見ました。

「照明明るく壁が木目調で暖色なのが正直意外。刑場という圧迫感を減らすためか?」
「それに比べての床のコンクリートと窓の外下に延びる階段が生々しい。」
「踏み板が頑丈そう。」
「人ひとり支えて動作させるには大きなソレノイドでも付いてるのかな?」

とあれこれ考えてるうちにふと

『そっか,この部屋も設計した人がいるんだよな.』

という至極当然のことに思い至りました.

設計にはその主たる機能を実現する部分(仕様)と
設計者の裁量により決められる部分とがあります.
その設計者の裁量の部分にこそその設計思想が色濃く現れる気がしてます.

この刑場で言うと,壁の色や床の材質。踏み板の剛性や駆動方式などでしょう

自分は東京拘置所のデザインは、死刑囚に過度の不安を抱かせず
刑務官にとっても速やかにかつ確実に刑を執行するのに配慮されていると感じました.

壁は暖かみのある木目調で明るく視覚的に不安を抱かせにくい
また踏み板は床と似た材質で剛性が高そう.
なので目隠しされていればその上に立ったとさえ気づかせない.
そういった受刑者への配慮は,
そのまま執行を円滑に行うことに繋がり刑務官の負担軽減にも繋がる.
ボタン室や前室とを仕切るカーテンの分厚さは音を遮り
刑務官たちの心理的負担を幾許か軽減するのじゃなかろうか.
あと立会室の照明にも設計者の意図を感じました.
(立会人の顔が逆光になる照明配置.)

こうやって見て行くと被害者や一部の人々からは
「犯罪者がそんな安楽に刑に処されるのは許せない!」
という意見が生まれてくるような気がします.

そんな不満はどこから生まれてくるか
そこで考えなければならないのは
「刑場の"ユーザ"とは誰なのか?」
というテーマです.

受刑者?
執行に当たる刑務官?
国?
被害者?
それとも当該する犯罪を許さないとコンセンサスを形成している国民ひとりひとり?

ユーザを誰に設定するかでデザインは変わってくるのでしょう.

さて,質問です.
あなたがこの刑場を設計するとしたらどのようなデザインをしますか?

自分は正直に言えば最適解を見いだせません.

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