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2010年6月17日 (木)

はやぶさと、帰還

Twitterでもつぶやいていましたが考えをまとめました.
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大きく報じられている『はやぶさ』の帰還
いろいろ自分にとっても思い入れのある衛星です。
筑波で打ち上げ前のMUSES-Cに会ったことが(確か)ありますし、
ターゲットマーカには自分の名前も刻まれていました。
(百万人目指して呼びかけも手伝ったなぁ…)

そんな思い入れがあるからこそ
この異様に盛り上がっている『はやぶさ』ブームに少し違和感を感じています。

まずこの衛星をプロジェクトとして見た時
小惑星の岩石サンプルを確実に採取する(Quality)
当初予算内でプロジェクトを完結する(Cost)
当初予定期間でプロジェクトを完結する(Delivery)
全ての面で目標を達成しなかったということ。

その失敗したプロジェクトに第一線級の科学者、技術者を投入し、
巨額の設備や帯域、人件費を投じて運用を継続するという判断に至った所に
問題の根幹があるように感じています。

#まいど1号が月150万の運用費払えず断念に至ったのは記憶に新しい所
#はやぶさの運用はもっと高いはず。

なぜJAXAがプロジェクトを打ち切れなかったのか。
それはこのプロジェクトが丁度H-IIA6号機の失敗で
JAXAが大バッシングを受けていた時期と重なるのは無縁ではないでしょう。
H-IIAも成功率を語るには圧倒的に少ない打ち上げ回数に関わらず
この失敗が日本の技術力が地に落ちたと言わんばかりの報道がなされました。
折りしもITバブルもはじけ、この風評を受けたJAXAの予算も削られました。
こういった環境のなかで「失敗」と言えない風潮が生まれたのは想像に難くありません。

理想をいえばこの一線級のスタッフに運用予算と「はやぶさ2号」を与えて、
再挑戦させていればもっと確実にミッションを達成できたように思えるのです。
そうでなくても貴重な人材ですから他のミッションの推進の戦力になったはずです。

この「打ち切らない」という選択が当たって、
今回「はやぶさ」の帰還に至ったわけですが
この盛り上がりはH-IIAのバッシングの裏返しに見えるのです。
JAXA広報の演出もその点見事でしたが
それをしなけりゃならない所に問題の本質がある気がします。

宇宙開発は国家プロジェクトで科学技術の戦略のはず。
それを人気商売にせざるをえないって何かおかしくないですか?

ともあれ巨額の資金とリソースを費やして「はやぶさ」は帰ってきました。
アメリカにおけるアポロ計画ではその失敗から多くのものが生まれました。
その一部はシステム工学や信頼性工学といった学問分野にまで昇華されています。
「はやぶさ」の失敗から新たな概念や学問分野が生まれた時
初めてこの帰還に大きな意味が生まれるのだと思います。
決して浪花節で終わらせちゃいけません。

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